感動です!黒柳徹子さんの『33の変奏曲』

 現在、銀座のル テアトル銀座で上演中の『33の変奏曲』を観てきました。『ゆうゆう』10月号誌上でもご紹介しましたが、これは毎年、黒柳徹子さん主演で続けられている海外コメディ・シリーズの第24弾。今年の『33の変奏曲』はコメディというよりも、幕が下りた後も、ズーンとした感動が心に残る、素晴らしい傑作です。ゆうゆう世代にこそ、観ていただきたいと思いました。

黒柳さんの役は、現在のニューヨークに住むキャサリンという名の音楽理論学者。筋萎縮性側索硬化症という不治の病に冒されています。残された時間に彼女が情熱を傾けて研究しているのは、ベートーヴェン(江守徹さん)が最晩年に作曲した33の変奏曲のこと。作曲家で楽譜出版者のディアベリの平凡なワルツを元に、なぜ33もの変奏曲を書き上げたかという謎を解き明かそうとしているのです。キャサリンはベートーヴェンの情熱の源を探るためにドイツのボンにあるベートーヴェン・ハウスに赴きます。ここにはベートーヴェン手書きの楽譜などの貴重な資料が膨大に保管されているのです。ともに病に冒されながらも、仕事に情熱を傾けるキャサリンとベートーヴェンの魂は、いつしか夢幻の中で出会い、想いをかわすように。

美の創造と真実の探求への情熱、生まれてきた使命、人生の残り時間、生きる喜び・・・・・・、いろいろなことを考えさせられるお芝居です。舞台の上にはピアノが設置されていて、お芝居と同時に浅井道子さんというピアニストの演奏で『33の変奏曲』を聴くことができ、これがまた素晴らしいのです。

「ベートーヴェンは意図的に33曲を作曲したのではないか」という指揮者の佐渡裕さんと黒柳さんの対談がパンフレットに掲載されているのですが、「3」という数字のミステリーがとても興味深い。黒柳さんは、先日のチリの落盤事故で、33人が奇跡的に全員無事に救出されたことにも触れていて、「33」という数字には何か不思議な力があるのではないかとおっしゃっています。ベートーヴェンの9つのシンフォニーは、偶数と奇数では印象がまったく違うと佐渡さんはおっしゃっています。おもしろいですね。

お芝居の感動は、その時間、その場に集まった人だけしか享受できません。俳優と観客が同じ時間に同じ世界を体験する贅沢な娯楽です。ライブだからこその感動は、やはり大人になればなるほど深いものがあると実感しています。

『33の変奏曲』は10月31日まで、ル テアトル銀座(℡03-3477-5858)で、11月4日から7日は大阪の 梅田芸術劇場 シアタードラマシティ(℡06-6377-3888)で上演されています。心からおすすめします。(編集部 依田)