生きるのが楽になる「人生相談」①コロナ禍でうつっぽい

◯生きるのが楽になる「人生相談」

「コロナ禍」という時代の転換期の中で、誰もがかつて味わったことのない 不安やストレスを抱えています。今までずっと晴れることのなかった日常の不満や将来への不安が、増幅された人も少なくないよう。 そんなモヤモヤや悩みへのアドバイスを、達人たちにお聞きしました。

 

コロナで何もかも失ったような心境です。 朝、起きるのも辛くて……

お悩み

「 5年前に、長い間介護していた夫を亡くし、いろいろありましたが、ひとり旅でもしようと思った矢先、コロナ禍に。趣味で始めた合唱もできなくなり、 ボランティアにも行けなくなり ……。何より悲しいのは、ひとり娘とその家族に会えないこと。娘を産んでから 40年、こんなに会えないのは初めてです。 朝、起きる気力もなく、毎日寝坊してゴミも出せず。いつかゴミ部屋になるかも。心配 です」(65歳・埼玉県)

鎌田實さんからのアドバイス

ちょっと頑張って早起きして 太陽の光を浴びましょう。 それだけで元気になりますよ。

コロナ禍で家族にも会えない……。 お 気 持 ち は わ か り ま す が 、「 辛 い 、 悲しい」と嘆いていると、ますます 気持ちは沈んでしまいます。まずは小さなことから変えてみてはどうかな 。 お す す め は ち ょ っ と だ け 頑 張 っ て早起きして、太陽の光を浴びるこ と。ただそれだけ、最初はね。

朝日を浴びると、サーカディアンリズムが整ってきます。サーカディアンリズムは体内時計ともいわれ、 日中は活動的になる、夜は眠くなるなど生活リズムをコントロールする もの。これが整うと、日中に活動す る気力がわきやすくなるんです。しかも太陽に当たることで、脳内ホル モンのセロトニンが分泌されます。 セトロニンはストレスを緩和して心 を安定させ、気持ちを上向きにする「幸せホルモン」。分泌量が増えれば、 うつっぽい気持ちがやわらぎ、なお のこと「何かしよう」という気持ち になれるはず。

また、セロトニンは 夜になると安眠へ導くメラトニンに 変わるので熟睡しやすくなり、朝は 起きやすくなるという好循環に。  太陽のおかげで少し元気になれた ら、次はラジオ体操やスクワットなど適度な運動を始めませんか。リズ ミカルに体を動かすとセロトニンの分泌量がさらに増えます。筋肉が動 くと、生活習慣病やうつ病などを予 防する若返りホルモンのマイオカイ ンも分泌されるので、心も体もますます元気になるでしょう。 

今こそひとり旅のチャンス

 太陽と運動のダブル効果で気持ち が前向きになったところで、念願の ひとり旅をしませんか。僕は、今こそひとり旅のチャンスだと思ってい ます。感染者の少ない地方は首都圏 よりずっと安全で安心ですよ。そこで美しい景色に身をゆだね、おいしいものを食べ、温泉にでもつかって リフレッシュする。観光客が少なくて困っている地方の旅館やお土産屋さんなども歓迎してくれるでしょう。 自分のためになるし、人のためにも なります。

そして人間は、人が喜んでくれることをすると自分が幸せになれるんですよね。  とにかく朝日を浴びることから始め、少しずつ歩を進めましょう。ちなみにサーカディアンリズムが整う と、体内に侵入した病原体と闘う免疫力がアップすることもわかっています。適度な運動で全身の血流がよくなると、ますます免疫力が高まる。 朝日と運動を暮らしに取り入れることは新型コロナウイル スに負けない体づくりにもなり、一 石二鳥ですよ。

鎌田實さん●医師

かまた・みのる●1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。 3 0 代 で 院 長となり赤 字 病 院を再 生 。 地 域 包 括 ケアの先駆けをつくった。チェルノブイリ、イラクへの国際医療支援、全国被災地支援にも力 を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本 チェルノブイリ連帯基金理事長、日本イラクメ ディカルネット代表、地域包括ケア研究所所長。

『ゆうゆう』2021年5月号より 撮影/井坂英彰(イメージカット)

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